『愛は、あきらめない』横田早紀江

愛は、あきらめない (Forest books)

愛は、あきらめない (Forest books)

蓮池透氏の大きく揺れ動く言説を読みながら、拉致問題とはなんと難しいものだろう、私などに考えられることなど何もないと思いつつあるなかで、横田めぐみさんのお母さんのこの言葉に、はっと目を覚まされた思いがした。

「そういう政治的交渉というのは私たちには難しくて、その場の交渉になっていくと、国と国との大変な駆け引きの中で真剣勝負をなさっているのだろうと思います。そういった中で、人ではなく神様が立ち働かれているのだと信じ、祈るしかありません。それが私に与えられた務めだろうと思っています。」
「『神様、いつまでですか!』と叫びたいような時もありますが、『いろいろなことをわたしが全部明らかにするまで、もう少し頑張って待ちなさい。わたしはあなたの娘を守っているから』という神様の御声を聞いています。」

ひとの考えること、ひとのできることなど、たかがしれている。たとえ北朝鮮であっても、結局はひとのすることだ。そう、たかがしれているのだ。神のなさることはひとの想像を超える。だから、それを信じて待つしかない。
アウグスティヌスの母、モニカが泣きながら祈っていたとき、それを知った祭司は言ったそうである。「母の涙の祈りを、神が聞かれないわけがない」。私の小さな祈りも、ともに捧げさせていただきたいと思う。