『めぐみ お母さんがきっと助けてあげる』横田早紀江

ブルーリボンの祈祷会に、参加しようかなあと思ったり、いや、祈りだけならば、自分ひとり、デスクでそっと祈ってもできる、と思ったり。私もささやかながら、祈ってますよ、めぐみさん、早紀江さん。主のみこころがかないますように。

さて、本書を読みつつ、ふっと胸をよぎったのが、駅前になが〜く貼られている一枚の張り紙である。「わたしを探して!」とある。20年前、4歳で行方不明になった横山ゆかりちゃんを探す張り紙である。ゆかりちゃんの両親も、北朝鮮にさらわれたことが分かるまでの横田さん夫妻のように、全国各地で見つかった遺体の写真を見に毎年警察に呼ばれ、タウン誌に載っている女性の写真が娘に似ていると思えば会いに行き、画家の個展を見れば描かれた女性が娘に似ている、モデルを教えてほしいと訪ねて行き……、と必死になっているのかもなあと、胸のつぶれる思いがする。
横山ゆかりちゃんや横田めぐみさんだけではない。日本中の、いや、世界中の、行方不明児の家族は、身をしぼる思いで生きているのだろう。その具体的な情景を、その気持ちを、早紀江さんの言葉を通じて初めて知った気がする。
すべての、家族の中で愛されている子どもたちが、家族から引き裂かれることのないように、心痛む思いで祈っている。