『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』ジュディ・バドニッツ、岸本佐知子訳

元気で大きいアメリカの赤ちゃん

元気で大きいアメリカの赤ちゃん

思わずジャケ買いしちゃった本。ジュディ・バドニッツ『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』(岸本佐知子訳)。知らない作家だったけれど、岸本さんが訳しているなら絶対面白いはず、と思って買う。

教科書的に言えば「元気で大きいアメリカの赤ちゃん」=「無知で傲慢な先進国の赤ちゃんみたいな大人」を風刺した短編小説集、ってことなんだけれど、それは、まあ、いい。小説は、ルポルタージュや評論ではない。表現と物語のすごさを味わうべし。
シュールなブラックユーモアの背後にある、リアリティ。
一作読むたびに、「うわー、どっきどきー。まじで、これが一番怖かった−」と思い、次の一作を読むと「わー、やべー、これが一番怖い−」と思う、の繰り返し。
風刺されているのが、自分自身だってのは分かっているけれど、でも、反省する前に、飲み込まれるって感じ。不幸とか恐怖ではなく、「不吉」な感じがする物語ばかりでした。