『ゴッドファーザー』(マリオ・プーヅオ)
- 作者: マリオプーヅォ,Mario Puzo,一ノ瀬直二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 文庫
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『ゴッドファーザー』読了。個人的に興味深かったのは、アメリカ人にとって、キリスト教の教派は記号なんだなあ、っていうことだ。
マフィアを継ぐことになるマイケルは、カトリック。でも、ニューイングランド出身のバプテストの牧師の娘であるケイと結婚する。子どももプロテスタントで育てたがった、というくだりがある。
マイケルは、ケイに結婚を申し込むとき自分たちの子どもは「完全なアメリカ人に、どこからどこまで本物のアメリカ人になってもらいたいんだ」と言う。
つまり、マイクは子どもを「コルレオーネ帝国」から「アメリカ合衆国」に、“亡命”させようとしてたわけだ。“亡命”する際に有効なのは、「プロテスタント」という記号なんだろうな、と思う。ちなみに本人も、第二次世界大戦に志願兵として参戦することで、“亡命”をくわだて(つまり、コルレオーネ帝国ではなくアメリカ合衆国に「命を捧げる」という形で忠誠を誓った)、途中までは成功していたのに、まあ、結局はたせずに「コルレオーネ帝国」の皇太子として、王国を継いでしまうわけだけど。
映画では、ケイがマイクの子どもを中絶する、というシーンがある。たんに、マイクへの愛情がなくなって、親が憎けりゃ子も憎い、っていう理屈で中絶していたんだと思っていた。
でも、そうじゃないのかも。
つまり、ケイは、「亡命」は不可能だ、と宣言したのではないかと思うのだ。どんなにがんばって「一般市民」になる教育をしようとも、あんたの子どもたちは、みーんな、マフィアになっちゃうのよ、と。
マイクが怒ったのは、カトリックの倫理観からではなく、ケイの敗北宣言に激怒したんじゃないかなあ、と思う。実際、パート3で、マイクの娘は抗争で死んじゃうし。
アメリカって、つくづく独特な国だ。