「『坊ちゃん』の時代 凛冽たり近代 なお生彩あり明治人』(1〜5)関川夏央・谷口ジロー
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ちくま日本文学を読了したついでに、人から勧められていた明治四十三年前後の日本文学の背景を描いた本書を読む。
石川啄木の日記や、漱石のエッセイ、鴎外の短編に、たしかにこんなエピソードがあったなあ、と思いつつ、その文脈のつなげ方や、登場人物たちの会話については、著者たちの創作……というより、批評、解釈だ。そういう意味では、駒割り、表情の描き方も、ひとつの批評であり解釈だ。マンガはもうすでに、小説やエッセイのみならず、評論をも表現できるようになったんだなあ、と驚く。