『堀辰雄』(ちくま日本文学039)

堀辰雄 (ちくま日本文学)

堀辰雄 (ちくま日本文学)

ちくま日本文学全40巻読破プロジェクト、とうとう39巻まで来た!
39巻目は「堀辰雄」である。
こんなに徹底して自分のスタイルを持っている作家ってなかなかいないなあ、という感想をもった。とくに「姨捨」「曠野」といった古典に材をとった作品が、ちゃんと堀辰雄味なのに感心する。「姨捨」は更級日記をもとにしているのだけれど、堀辰雄風味の美少女が立ち上がってくるし、「曠野」は伊勢物語の一つだが、主人公はなんか、肺結核っぽいし。
イメージとして、軽井沢に避暑に行くような白樺派ブルジョワの別のグループというカテゴライズをしていたのだけれど、生い立ちを描いた「幼年時代」「花を持てる女」などを読むと、下町育ち(今で言う京成線沿線)の人だった、ということにまた新鮮な驚きを持った。