『1Q84book3』村上春樹

1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3

「リトル・ピープルの時代」(宇野常寛)に「1Q84」の分析が書いてあったので、ああ、そういえばBook3が積ん読だったなあ、と思い出して、引っ張りだしてみる。
ちなみに、Book1,2を読んだのは2009年8月。3年前だ。なので、すっかり話を忘れてしまっていた。ネットであらすじを探したのだけれど、ネタバレに配慮されちゃったりしていて、難儀した。結局、うろ覚えのまま読み進める。でありながら、引き込まれて、すごいテンションで読み進めてしまう。いろいろと記号を読み解きたくなるのは相変わらずだ。「リトル・ピープル」とはなにか、「空気さなぎ」とは? なぜ青豆は妊娠するのか? NHK集金人の父は? などなど。さあ、読み解けとばかりに。でもその手には乗らないぞー。ただのエンタメ小説として味わうつもりで読んでいたが、そういう意味でも十分面白かった。青豆と天吾はあえるのか、とか、青豆が牛河に追いつめられて行く様子や、危機一髪で(でも、後味悪く)牛河から逃げるスリリングさとか、1Q84から脱出できるのかとか、どきどきはらはらシーン満載。
宇野常寛が、村上作品の主人公が父になるのは、これがはじめてだと指摘していたが、今後、村上作品に、「父になった僕」が登場するようになるのだろうか。子供をみて「やれやれ」とか言う父。じつは春樹はわたしの父と同世代である。春樹がもし「父としての僕」を書いたら、父と共有する面をかいま見ることができたりするのかもしれない。