『ママの研究』信田さよ子

ザ・ママの研究 (よりみちパン!セ56)

ザ・ママの研究 (よりみちパン!セ56)

「母が重くてたまらない〜墓守娘の嘆き」の信田さん、teens向けの書き下ろし。1冊まるまる大学ノートのようなブックデザインにうなる。どんだけお金がかかるんだろう、こういう装丁って。「ママの観察メモ」の手書き文字は、どうも、本当に子供が書いたもののようだが、まるで本書イラストのようにとけ込んでいる。すごい。とかく、デザインに凝っていることに目を奪われまくってしまった。

本書に分析されている「ママ」のチャートで分析すると、nikkouの母親は、「ふつー」の母親、ということになる。が、内実は「過干渉」型、のような気がする。中学受験、高校受験、大学受験、就活、婚活、と激しく関与し、いまだに、「子供ができる漢方薬」だの、「子づくり用の栄養のための高級和牛」だの、送りつけてくるし。ただ、nikkou自身が激しく抵抗し、決して母に支配されなかったことと(漢方薬も、高級和牛も、ゴミ箱に叩き込んだ。母いわく、nikkouは2歳ですでに大人と同等だと思っているらしい迫力ある子供だったとのこと)、妹が3人の4人姉妹で、過干渉を4等分したところ、ちょうどいい案配になった、ということだろう、と思う。
あの母の娘であるnikkouは、母親になったとき、「過干渉」型になる可能性がおおいにあるなあ、とちょっと不安を覚えていたのだが、信田さんが勧める「ママを客観視する」という視点で、ちょっと振り返ってみたら、まあ、ずいぶん、自分と違う人間のような気がしてきた。
団塊世代であるわが母は、女子が学歴や職業において、男子と対等であることを強く望むと同時に、次男であるわが父の実家(長男一家)に激しく対抗心をもやして、父の実家の子供たち(nikkouのいとこたち)よりも、自分の子供たちがずっと裕福で、子だくさんの家庭を築くことを、これまた非常に強く望んでいる、ように思える。始末に負えないのは、すべては努力で成し遂げられる、と無邪気に信じているということだ。彼女は、総じて、とても充実した人生を歩んできた人なのだと思う。それはそれで、娘としては、たいへんありがたく、結構なことだと思う。このまま、どうか、認知症にもならず、寝たきりにもならず、丈夫で長生きしてもらいたいものだ。そうすれば今のように、飛行機で丸一日かかる地方にいてもらって、ちょうどいい距離感を保てるというものである。

自分の母はともかく、自分自身、近い将来(できれば、ここ一年以内が希望)に「ママ」になった際、「ふつー」でありたい、とつくづく思う。「ふつー」であることはすばらしい、という信田さんの言葉に、不覚にも落涙しそうになったのは、なぜだろう。