『装丁問答』長友啓典

装丁問答 (朝日新書)

装丁問答 (朝日新書)

nikkouは、装丁にめっぽう弱い。
まず装丁家をしらない。大きな顔写真が載っていれば間村俊一、ぴかぴかしていればミルキィ・イソベ、線描の似顔絵は和田誠、細密画っぽい絵に余白が大きければクラフト・エヴィング商会、カクカクした文字は平野甲賀……今思いつくのも、このくらい。だから、本書は勉強になりました。たくさんの装丁家の方たちの、見事な仕事ぶり。
だいたい、nikkouはいつも、表紙の素材が見つけられない。ストックがないから、付け焼刃であれこれ寄せ集めて、これでなんとかなりませんか、とやる。アホだ。しかも、いくつか出された案から、選べない。「時間切れだよ!」と怒鳴られて、自信がないまま、進めていく。
長友氏はいう、

常々自論なんだけど、数は質を凌駕する、と信じている。表現者にとっては鍛錬、訓練で勝ち取る作品の数が勝負なんだから。

釣りで言えば、次なる大物を釣り上げるイメージで、ああでもない、こうでもないと思案しつつ、疑似餌をつくり箱にしまっておいて「いざ出陣」というのに似ているような気がする。
(118ページ)

耳にいたいです。自分の仕事でも人の仕事でも、もっと意識を高くもって、装丁に心を向けていこうと思います。