『中島敦』ちくま日本文学012

中島敦 (ちくま日本文学 12)

中島敦 (ちくま日本文学 12)

山月記」ばかりが有名だけれど、どれもおもしろい。そして、どれも微妙にシニカルであります。「名人伝」「狐憑」「文字渦」「幸福」「牛人」など、最後にニヤッと、あるいは「うわぁ・・・」と思わされるものには、「これぞ短編の名手」と思う。また、「巡査の居る風景」や「マリヤン」に、戦前戦中にこういうことを書ける作家がいたんだ、と驚く。戦後まで生き延びたら、なにを書いただろう。