『検事総長』渡辺文幸

検事総長 - 政治と検察のあいだで (中公新書ラクレ)

検事総長 - 政治と検察のあいだで (中公新書ラクレ)

検事、特に検事総長というのは、国家公務員の中でもだいぶ特異な存在なんだなあと思う。政治に近い位置にいる。といっても、政治家のいうままになるのではなく、時に対決したり、時に駆け引きをしたり。
1970年代まで、戦前の「思想検察」系のと、「経済検察」系の派閥闘争があったと書いてあるけれど、本当に今、派閥闘争はなくなったんだろうか。
ロッキード事件」のころ、自分は生まれていないのだけれど、田中角栄逮捕にせよ、その裁判にせよ、文字で追うだにドラマチックで、当時の人は本当に息をのんだだろうと思う。検事総長をつとめたことのある大沢一郎氏がロッキード事件で被告の弁護団に入った、なんて話も、「検事総長」という視点から追うと、ちょっと衝撃的でありました。