『風花』川上弘美

風花

風花

川上弘美という作家はどんな小説でも書けるんだなあとびっくりする。これまた「真鶴」とも「ニシノユキヒコの恋と冒険」とも違う作風。
この女ちょっと足りないんじゃないのか? と心配になるような主婦が主人公。彼女がじーっくり、じーっくり時間をかけて物事をとらえ、決断していく間に、彼女を取り巻く社会のほうが目まぐるしく変化していく様子が、めっぽう面白い。
最後のシーンの「まっすぐ置いちゃって」が秀逸で、すごいなあ川上弘美、よくこんなセリフ書けるよなあ、と胸を打たれる。