『オカマだけどOLやってます。完全版』能町みね子

オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫)

オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫)

おもたーい本が続いたので、軽く読める本として。「軽く」と言っちゃ失礼だけど、本人も「性同一性障害」という言い方に抵抗を覚えているらしく、実際、「困ったなあ」という話は多くても、「障害と、差別と、偏見に、闘ってまいりました!」という力みはない。「なんか、こう、楽な方に流れてこうなっただけッス」ということらしい。だから、「お笑い系のオカマか、オンナ顔負けの美形ニューハーフか、苦労を重ねて世間と戦う性同一性障害か、3つしか選択肢がないなんてイヤですよ。私はそのどれでもないところで、ごくふつうの女子になっちゃいますからね」という。じつはそういう指摘って、すごい重要だ。nikkouも最近、「無教会の人はこういうことを考える」と、たったひとりの個性を、すべての無教会の人にひろげて発言しているのを聞く機会が立て続けにあって、この日本では「クリスチャン」というだけでレッテルを貼られるのに、さらにクリスチャンのなかで「無教会」というレッテルを貼られるなんて、気の毒だなあ「無教会クリスチャン」、そういうのを「差別」っていうんじゃねえのけ、と思いつつ、もうそういうのをいちいち指摘するのもめんどくさい。
でも、そういうレッテル貼りって日常的にてんこもりにあるよね。
と、能町さんには「いや、そんな話、関係ねえよ」と言われそうなところに飛躍してしまったのでした。
面白かったです、純粋に。