「Life on the refrigerator door」Alice Kuipers

Life on the Refrigerator Door

Life on the Refrigerator Door

産婦人科医のシングルマザーと15歳の娘の、冷蔵庫のドア上にマグネットでとめられたメモのやりとりだけで進む小説。買い物リストや、「庭にいます」とか「おこづかいはカウンターに置いておきました」といった伝言に混じって、「Life」(生活ないし人生)のにじむやりとりが交わされる。

冷蔵庫のメモだけが順ぐりにつづられるので、
「お母さんとお父さんは、どこで出会ったの?お母さんは、なぜお父さんと結婚したの?私を妊娠したから?なぜ離婚したの?」という娘の問いかけや、ホームパーティがなぜ中止になったのか、などメモに表れないことは、想像で補うしかなく、それがかえって面白い。逆に、面と向かっては言えない冷蔵庫のドアの上の切実な告白(「私は、よいお母さんだったでしょうか」とか)が冴えている。

ストーリーは、まあなんてことなくて、そんな趣向を楽しむ一冊でした。

そういえば、アメリカには保険がないから、病気になると、あっという間に貧民に転落するんだっけなあ、と余計なことを考えながら読んでしまう。