「そして殺人者は野に放たれる」日垣隆
- 作者: 日垣隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/12/17
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- 作者: 井上章一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/07
- メディア: 文庫
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先週末、井上章一「狂気と王権」を読んで、ふと、本書を積読してあったことを思い出し、今日、本書にざっと目を通す。
事例はたくさん載せてあるのだけれど、章立てが悪いのか、筆者の主張があっちこっちに行ってしまって、なにが言いたいのかわかりにくい。
ちりばめてある主張を拾い集めてみると、こんなところか(備忘録のブログなので、読者には、ネタばれや読みにくい点など、ご容赦を)。
- ①「精神障害者は罪に問わない」という現在の刑法39条は、「精神障害者なら犯罪を犯してもしょうがない。→障害者は危険」という社会の偏見を助長するものである。
- ②「精神障害者には責任能力がない」として、不起訴処分にするというのは、精神障害者を人間扱いしていないということである。
- ③精神障害者か否か、という判定は、精神鑑定にあたった精神科医の能力や思想に左右されて、公平ではない。
- ④そもそも、精神鑑定自体、不要。
- ⑤精神障害者による犯罪の被害者は、被害にあった事件を「なかったことにする」という理不尽さを受け入れなければならない。
- ⑥「精神障害者は罪に問わない」という条文を知った不届きな輩が、詐病によって釈放され、再犯を重ねる。
- ⑦日本には精神障害者ではなく、「精神耗弱」ゆえに「罪に問わない」という理不尽な法律がある。これでは、常に冷静沈着なプロの殺し屋以外はすべて無罪、ということにならないか。
- ⑧日本には、犯罪を犯した精神障害者を治療する専門施設がない。
そういえば、「39」という映画があったけれど、それは、ここの⑤⑥をテーマにしていた。
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2002/08/25
- メディア: DVD
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読んでいて、だんだん、わからなくなってきた。
「裁判って、なんのためにやるんだ?」
遺族の復讐のためか?
犯罪者を反省・更生させるためか?
社会から犯罪者を抹殺するためか?
犯罪抑制のためか?
社会の不備な点を発見するためか?
「M/世界の憂鬱な先端」を読んだときも、同じことを思ったなあ。「M」で拾い読みした精神鑑定は、あまりに気持ち悪くて、しばらくいや〜な感じだったけれど、「すべて殺人者は野に放たれる」と合わせて考えると、彼はなぜ措置入院じゃなくって死刑になったんだろう。読めば読むほど、わからなくなる。
- 作者: 吉岡忍
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/01
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