『雪国』川端康成

雪国 (新潮文庫)

雪国 (新潮文庫)

小谷野敦は『雪国』について、プロットがない、とか、葉子が出て収拾がつかなくなった、とか書いてあったけれど、わたしはあまり気にならなかった。『ダロウェイ夫人』も面白く読んだので、プロットのない小説があまり嫌いではないのかもしれない。これなら『トリストラムシャンディ』とまではいかなくても、『失われた時を求めて』くらい、思っているほどびびらずに読み通せるかも?
『雪国』は学生時代にも一度読んでいるはずだが、まったく記憶になかった。まあ、20前後じゃ無理かもねえ。プロットなんかなくったって、行間からたちのぼるほかほかしたもの(エロス、って呼んでいいのかなあ)に、むふむふしているだけで、なんだか楽しい小説だった。