『いちばんよくわかる! 集団的自衛権』(佐瀬昌盛)

いちばんよくわかる集団的自衛権

いちばんよくわかる集団的自衛権

佐瀬昌盛『いちばんよくわかる! 集団的自衛権』読了。なんか、一番よくわからなかった。「集団的自衛権」の語義について著者には一家言あるとか、憲法解釈の方法とか、安保法制懇は議論の場じゃなかった、とか、そういうことはまあ、分かったような気がするけれど、nikkouが一番知りたい、「集団的自衛権」を行使して何をしたいのか、行使した結果、どういうメリットとリスクがあるのか、そもそも著者が残したい「後世への最大遺物」は何なのか(現在80歳だから、そういう視点で政策に関わって当然だと思う)が、結局何も分からなかった。「戦争をしたいわけではない」と繰り返し言っているけれど、じゃあ何がしたいんだろう。どういう日本や世界を指向しているのだろう。
同じ容認派でも、石破さんははっきりしてるんだよね。「集団的自衛権」を行使すれば、中国と日本が戦争になってもアメリカは日本を助けてくれるはずとか、中国やアメリカとパワーゲームができるようになるとか、抑止力の上に立つ平和を目標にしているとか、武器輸出ができるようになるから戦争になったら儲かる、とか。賛成できなくても、何を目的にしているかは分かる。そういうヴィジョンに賛同する人もいるだろうな、とも思う。
でも、佐瀬さんは、いったい、どういうヴィジョンを抱いて生きてきて、どういうヴィジョンを伝えたいのだろう。それが、分からない。