『「育休世代」のジレンマ』(中野円佳)

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

中野円佳『「育休世代」のジレンマ』を最終章まで読んで、車内で思わず天を仰いでしまう。うまい結論だなーと。

中野氏いわく、日本の企業は「男女不平等」というよりは、「ケア責任」をになっている人とそうでない人との間の不平等なんだと。
「ケア責任」をになっている人、というのは、ケアが必要な子どもや病人やお年寄りのケアを主にになっている人、という意味。


つまり日本ではケア責任を主に女の人が負うことが多いから、女性が差別されているように見えるけれど、
実際は、シングル・ファーザーや妻と平等に育児をする男性、妻が病気や障害を持っている男性、老親の介護をになっている男性も、給与や昇進、職場での責任に差が出るということだ。
なあるほど。なるほどなあ。

でも、ケア責任を持っている人を冷遇する社会は、痛みや弱さを許容しない、嫌な社会になるんじゃないか、と中野さんは言う。
その通りだとnikkouも思う。

本書は、そんな社会を変える方法として、企業や政策にいくつか提言しているけれど、中に、教育の変革もある。
つまり、社会に適応する「優等生」を育てたり、「努力と能力」さえあれば生きていけると焚きつけたりする教育ではなく、
社会に不平等を感じたら、異議申し立てをして、社会を変革できる人材を育てよ、と。
まあ、そうね、と思いつつ、ちょっと苦笑。

そういう教材案が出ないでもないけど、教科書を選ぶ先生によっては、嫌がるだろうなあ。
載せても授業で扱われないとかね。

まあ、でも教科書にできることもあるんだろうな、と思う。がんばろう、と思わされました。