『離婚してもいいですか』(野原広子)

日経DUELで紹介されていたので買って読んでみる。こないだの高校の先生の研究発表で、「本校(女子校)の生徒たちは、よく言えば従順、悪く言えば主体性がなく、右を向けといえばずーっと右を向いていて、左を向けといえばずーっと左を向いています」と嘆いていた先生の話を思い出す。そんな女の子たちはどんな大人になるんだろう、と会社で言うと、「従順な妻になり、従順な母になるんじゃない?」と同僚に言われる。それはそれで幸せなのかなあ、我々が教科書にフェミニズムの文章を載せても彼女らには意味はないのかなあ、と思っていたけれど、本書を読んで、いや、違う、と思う。彼女らは従順なのではない。闘う武器がないのだ。夫がかんしゃくを起こしたら、同じ熱量で怒りかえせ、フェミニズムが分析した女の置かれた地位を大局的かつ相対的にとらえよ、と同時に、経済や政治のことばを覚え、男たちのおかれた状況を冷静に理解せよ、と、国語の教科書を通じて呼びかけねば。受け取ってくれ、どうか武器を受け取ってくれ、従順と呼ばれる少女たちよ。と、読みながら思わず熱くなってしまった。