『毎日かあさん11』西原理恵子

西原さんのお子さんがちいさいときから読み続けて、いつの間にか高校生。人の子の成長は早い。佐々木正美先生が『子どもへのまなざし』に書いている「子供の要望には”すべて”答えよ」という子育て。1歳児の要望にはまだ答えられる。「絵本を読め」(エンドレス)、「外で遊ぶ!」(台風の日も)、「だっこして!」(フライパンを煽っているときも)、「ワゴンの引き出しをあけろ」(そして中身を全部出す)ってなくらい。これが高校生になると、「留学する」になるんだなあ。そんな息子の要望に、やぶれかぶれな筆致で、笑いにまぎらわせつつ、でも、ガチでとっくみあう西原さん。特に感嘆するのは、いよいよ留学が決まったという時期になって、交換留学するには高校1年生時の出席日数が足りないことが判明したときの、西原さんの対応。「まーいーかー、キミそれなりに頑張ったんだし」とまず子どもをねぎらっておいて、「救済処置は? 方向転換としては?」と、次の手を尋ねること。提示された3つの方策について「自分の事だから自分で決めていーよ」と息子に決めさせること。そして、息子の選択に「ラッキーだよね」と笑顔で応じること。このいずれの時点でも、「あんた、なんてことなの!」「だめじゃないの!」「そんなの許さない!」と、否定しない。責めない。親ってのは、「どっしり構えて、腹をくくる」(BY相方)てことなんだなあ、と、つくづく学ばされました。
最後のページで思わずほろり。