『マザコン』角田光代

マザコン (集英社文庫)

マザコン (集英社文庫)

ちょっと小説を読みたいな、と思って丸善で手に取る。角田さんの小説にははずれがない。
そういえば、角田さんは母を描いた小説が多い。『対岸の彼女』も『森に眠る魚』も、なにより『八日目の蝉』も、「母」がテーマのひとつだった。
本書は短編小説集で、「母」を息子や娘の目から描いた作品。上記がみな、「母」自身の視点だったので、ちょっと新鮮。読みながら、水村美苗『母の遺産』や鹿島田真希『冥土めぐり』を思い出していた。娘の立場で母を描いた作品を読むときは、気楽でいい。しかし、母になって、こういう「困った母」の作品を読むときは、少しつらい。どうすりゃいいんですかねえ、あたしは。