『復活』トルストイ(木村浩訳)

復活(上) (新潮文庫)

復活(上) (新潮文庫)

復活(下) (新潮文庫)

復活(下) (新潮文庫)

破水して入院、その後二日間産まれず、なにもすることのできない病院で上巻を読了してしまった。
下巻は、産後二か月かけて読み終えた。
ストーリーの骨子はそこそこ面白いが、合間合間に入ってくるトルストイのロシア社会批判に、正直あきれる。大国だからか、雑だよ、ロシア。法律も刑罰も裁判も、なんとなく大雑把。その感覚は、中国を舞台にした小説とちょっと似ている。
最後に、福音書の真意をネフリョードフが理解して話は唐突に終わるのだけれど、自分はまだ、こんなにもたくさんの福音書の箇所を一気に理解する、という経験をしていないので(一節を理解するのに何年もかかる)、はー、そうですかー、すばらしいですねー、という感じ。
おっしゃるとおり、「神の国と神の義」をすべての人が心底求めれば、社会のありとあらゆる問題は解決するだろう。でも、どうやってすべての人が求められるようになる? 
「彼は今はじめてこの教えのなかに、その大半が極端で実行不可能な要求を提出している、抽象的な美しい思想ではなく、現実に実行できる単純で明快な戒律を見いだしたのであった。」
と断言できるトルストイの悟りには、不肖nikkou遠く及ばない。