『もしもし運命の人ですか』穂村弘

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

大きい本が続いたので、気楽に読めるものがほしくなって、手に取る。まさに、ぴったり。瀧波ユカリ穂村弘を単なる「猛禽ちゃん」好きに片付けようとしているけれど、いやいや、いいのよ、コレ内容は。要は、文章の呼吸を楽しむもんだから。



ひとりの浮浪者がライターの火を掲げて新聞紙に近づけていたのだ。……ライターの火で、彼は新聞を読んでいたのだ。小さな炎に照らし出された横顔の真剣さ。その美しさ。究極のワイルド系を目撃してしまった私はそこまでの距離を思って気が遠くなる。無限じゃないか。

「山内」
そうかあ、と思う。
鹿は「山内」って云うのかあ。

「でも、どうしてばれたんだろう?」
「たぶん、あれじゃないかな」
「何?」
「便座」

ただ、穂村弘の自作短歌の解説は、本当に本当に、いただけない。

「酔ってるの? あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」

を、この文脈に置かないでっ!!