『オトナ語の謎。』糸井重里 監修・ほぼ日刊イトイ新聞 編

オトナ語の謎。 (新潮文庫)

オトナ語の謎。 (新潮文庫)

同僚が、nikkouの後輩に渡しているのを横目で見て、面白そうだったので買ってしまう。帰り道、電車の中で読みながら笑いをこらえるせいで窒息しそうになる。本書のうちのいくつ、上司や同僚との会話、先生宛のメールで使っただろう。言われてみればそのとおりなんだけど、意外に気付かなかった微妙なニュアンスの数々。それって、ウチだけじゃなかったんだ、というのもあれば、ウチの使い方と微妙に違う、というのもある。以下の会議の発言は、編集会議の会話そのもの。

すばらしい」 会議でそんなふうに言われたとしても喜んではいけない。それは「あ、ありがとね」くらいの相づちにすぎない。
悪くないですね」 かなりのほめ言葉といっていい。いろんな関係者もいるので、私個人が即座にほめるのもどうかと思うけど、きっとこれはよいから、自分がよいという反応をしたことは伝えておきたい、という、じつにオトナな意味合いを含むほめ言葉。しかしながら、それを聞いたあなたは「ああ、ほんとうですか! よかった! ありがとうございます!」などと派手に喜んではいけない。ここは「恐縮です」などとクールに答えておいて、ひとりになったときに小さくガッツポーズしよう。オトナって難しいなあ。
悪くはないですね」 前述した「悪くないですね」に一文字加えられただけだが、これは「結果的にはダメだ」ということになる。いや、ほんと、オトナって難しいわ。けど、言うほうも言われるほうも誰に教わるでもなくこのへんお機微を感じ取っている。意外にオトナってたのしいかもよ。