『1Q84 Book1・Book2』村上春樹

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

ようやく手をつけました、『1Q84』。
しかしなんだかなあ。えらく後味の悪い小説でした。異界との交流も、お色気シーンも、意味深な記号もてんこもりの春樹ワールドで、登場人物は「やれやれ」と、ちゃんと言う。(「やれやれ」と言うと、春樹読者はおもわず「来たっ!」って思いません?)お、これは「卵と壁」か? みたいな独白もある。しかし『海辺のカフカ』も『ねじまき鳥クロニクル』も『東京奇譚』もこんなにいやーな気持ちにはならなかった気がするよ。なんだろうなあ。
謎解きにはあまり興味がなく、春樹ワールドを味わえればそれでOKな読者なので、もうすこし救いや希望がほしかった。

村上春樹とは関係ないんだけれど、ちょっと思ったのが、この国の作家は、新興宗教をモチーフとして小説に使ったりはするけれど、宗教そのもの(キリスト教でも、仏教でも)をずしんと中心に据えて、神と対決する小説は書かないんだろうか。遠藤周作みたいな。