幸田文きもの帖

幸田文 きもの帖

幸田文 きもの帖

というわけで、真打登場であります。
真打も真打。これまで読んできたきもの関連エッセイがすべて見事に吹き飛ばされるほどの本物の「きもの道」。
近所のおかみさんたちの、普段の着こなしを活写しているのがすばらしい。炭屋のおかみさんの普段着とか、火消しのおかみさんの帯の結び方とか、ふとった近所のおかみさんの可愛らしい下駄の着こなしとか。あるいは、規則ではなく肌感覚としての衣替え、TPOの着分け方、心づかいとしての身のこなし、などなど。まだ日本のおしゃれは、洋服にかんして、ここまで語れる歴史はないんだろうと思う。
もったいないよなあ、着物を普段に着なくなっちゃったのは。
わたしも最近は、週末、家でくつろぐときに、古着で買った3000円の紬を着てみたりする。お腹廻りがあったかくって、とても居心地がいいです。