「タヌキたちのびっくり東京生活 都市と野生動物の新しい共存」宮本拓海/しおやてるこ/NPO都市動物研究会
タヌキたちのびっくり東京生活 ‐都市と野生動物の新しい共存‐ (知りたい!サイエンス 35)
- 作者: 宮本拓海,NPO都市動物研究会,しおやてるこ,四六
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2008/07/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
東京23区に生息する野生のたぬきの生態、食べ物や行動範囲、出会ったときの対処法など、まんがをおりまぜながら解説した本。教科書の分類でいえば「説明文」にあたる。なのになぜこんなに胸があったかくなるんだろう。下手な小説よりはるかに感動的だ。
「江戸名所図会」などを見れば、渋谷だろうが新宿だろうが麻布だろうが六本木だろうが、雑木林と畑と荒野がだらだらと広がっていて、きつねもたぬきも住んでんのはあったりまえだってやんでちきしょー、な感じですが、今なお、この23区に、たぬきたちはほそぼそと生き延びていたんだそうだ。どこから来たのでも、ペットが逃げたのでもなく、本当に本当の江戸っ子たぬき。
環八をとことこと走り、学校の体育館の床下や側溝をねぐらにし、子育てをし、むかでやありんこを食べながら、一生懸命、生きているんだそうだ。
江戸時代の日本の人口は、うろ覚えだけれど、たしか5000万人くらい。少子化で、どんどん日本の人口が減っていって、東京が江戸くらいの小さな町になったら、またたぬきもきつねも、住んでんのはあったりまえだってやんでちきしょーな環境になるんじゃないかしら、というのが、著者宮本さんの予測。だとしたら、少子化は「問題」じゃない、と内田樹が『こんな日本でよかったね』で書いていたとおりだ。