『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)

読んだら忘れない読書術

読んだら忘れない読書術

月に1〜2回ある編集会議では、毎回30〜50本の評論や小説を読んでおかなければならない。もう10年以上、そんな編集会議をやってきたのだけれど、何年経っても、読んだものを覚えていられない。会議のたびに「えーっとどんな話だったっけな」とコピーをぱらぱらやらなければならない。3色ボールペン読みだの、ノートをとるだの、いろいろやったけれど、一向に改善しないので、こんな本を手に取ってみました。
結論からいうと、そんな私のニーズには、全然適していない。取り上げられているのはビジネス書か実用書か、せいぜい娯楽小説。次の会議までに丸山眞男から杉田敦まで、樋口一葉・北村透谷から高橋源一郎大江健三郎まで読み込んで、会議では、あらすじのみならず、表現上の難点や内容の矛盾点、先月提案された文章との優劣まで議論しなければならない。樺沢先生がおっしゃるような多読やアウトプットなんて、もうずっと前にお試し済みだ。
ちなみに、うちの夫は樺沢先生とご同業だ。文字なんか読める状況にない患者さんばかりだそうで、「小冊子を渡してもよみゃーしねー」という樺沢先生の患者さんへの一言をウチの夫に読ませたら、どんな顔をするだろうと、ちょっと胸が痛んだ。精神科医にもいろいろなんだなあということは、ひとつ、本書で得た知識。