『火花』又吉直樹

火花

火花


どうしたら、戦争に行く可能性のある社会階層の子に安保法制の内容を届けられるか、という話を同僚としている際、又吉直樹『火花』はそういう社会階層の子が読んでいるんじゃないかな、と同僚に言われる。なんせ200万部だ。この日本の文芸書好きの読者だけでこの部数はいかない。

ちなみに周りの同僚編集者たちに聞くと、「『流』は読んだが『火花』はまだ」「『スクラップ・アンド・ビルド』は読んだが『火花』はまだ」と、なんだか『火花』そのものを避ける傾向がある。(気持ちはわからなくない。)
でも、『流』よりも『スクラップ・アンド・ビルド』よりもまず、『火花』を読んでみた。

・・・・・・一日で読める分量ではあるけれど、案外、硬派よ、これ。
斎藤環のキャラクター論とかがさりげなく仕込んであって、けっこうちゃんとした現代風刺だし、ネタとして展開されるギャグは、単純な叩き合いの漫才ではなく、江戸風の「洒落」がきいたものだし。

要は、著者が目立てば、中身はちょっと硬派でも売れるってことなんだろうか。
そんじゃ、いっそのこと、又吉直樹に書いてもらうか、安保法制解説