『ちいさいモモちゃん』(松谷みよ子)

ちいさいモモちゃん (講談社文庫)

ちいさいモモちゃん (講談社文庫)


松谷みよ子さん、ご逝去。ということで、『モモちゃんとアカネちゃん』シリーズを30数年ぶりに再読する。2011年に講談社文庫に収録されていた。酒井駒子さんが挿絵を描いている。じつに美しい。

こどもの頃はモモちゃんの視点で読んでいたにちがいないのだが、今読みかえすと、どうしてもママの視点になってしまう。

まったく覚えていなかったのだが、モモちゃんのママは、ワーキングマザーであった。
「モモちゃん、怒る」に、ママが残業で遅くなり、終電で帰ってくるというシーンがある。モモちゃん、2歳である。むーん、身につまされる。
帰りの遅いママに怒ったモモちゃんが、夜道でママを迎える。
子どもの頃はモモちゃんの視点からママを見上げて、モモちゃんと一緒に怒っていたのだろうけれど、今は、ママの視点から、モモちゃんを見下ろして、申し訳なさといとおしさに胸が痛くなる。
大福も、お迎えが遅くなると、バックを肩にかけて、目に涙をいっぱいためて、ドアの前で待っているらしい。

モモちゃんのママ、よくがんばっている。先輩の奮闘ぶりをあおぎみるようである。