『現代語訳 日本国憲法』伊藤真

現代語訳 日本国憲法 (ちくま新書)

現代語訳 日本国憲法 (ちくま新書)

ここでようやく、日本国憲法を読む。といっても、そのものはちょっとめんどいので、伊藤真『現代語訳 日本国憲法』(ちくま新書)を。日本国憲法伊藤真先生が日常の日本語で言い換え、さらに一条ずつ短く解説する、というハンディな一冊。読みやすいです。伊藤先生の意訳(?)もあるので、そこは解釈が分かれるだろうなあ、と思うところもないわけではないけれど、一方で、法律用語を使わず、はっきり言うと、こりゃ、すごいことを言っているのねえ、ってのが、9条に限らずたくさんあって、とても面白いです。おすすめです。

あとがきを読んでいて、「ほお」と思わず声が出てしまう。著者の伊藤真先生、高校時代は弓道にはまっていたんだそうだ。ちなみに、伊藤先生は、nikkouの母校の先輩。ということは、部活の先輩でもあるわけだ(ネットで調べてたら弓道部の主将だったんだって。ここだけの話、nikkouの母校の弓道部の主将ってなぜみんな、あんなに体格がいいんだろう)。
伊藤先生いわく、弓道を極めると、9条にいきつくんだそうで。nikkouは、極められなかったんだなあ。
ちなみに、弓道部の精神ってのは、われわれが通った「吉田道場」の教えだろうな、と思う。
吉田道場ってのは、高校生には若干高尚なところでありました。もと、高校の家庭科の先生だった吉田レイ先生がひらいていた道場。的にあたるかどうかより、精神性を重視していました。
おかげで、高校生にとっては結構理不尽なことも多々アリ。
たとえば、国体なんかでは純粋に矢数が勝負を決めるのに、道場の大会「正法戦」は、ポイント制なのだ。だから、矢が当たっても、ポイントが発表されるまで勝ち負けがわからないというスリリングさ。なにが評価されてポイントがつくのかは、nikkouには理解不能だったのか、興味がなかったのか、まったく覚えていない。
レイ先生の弓ってのがまた不可思議で、なにせおばあちゃんなもんだから、へーろへろ。まつには何がいいのか、さっぱり分からなかった。むしろOBでイケメンのY先輩のさらっと引く弓のほうに眼はハートでした(^^;
「的にあてる」という言い方を先生たちはすごく嫌い、新入生は「あたった、あたった」と喜ぶたびに、怒られていました。
伊藤先生いわく、武器をとらず、精神性で勝つ。それが、武士道であり、9条の精神だそうです。レイ先生の弓は、精神性の高さで、他を圧倒していたのでしょうか。もはや、記憶の中でしか、それを確認できないのが残念です。