『中国人エリートは日本人をこう見る』中島恵

中国人エリートは日本人をこう見る 日経プレミアシリーズ

ここで取材されている中国の人たちのように、日本に来て、日本人と一緒に働いたり学んだりすれば、だれでも認識は改まるし、正しく状況をつかめるようになるのではないか、と希望をもった矢先、私と同じ教会に通って来ていた二人の中国人の若者が、尖閣諸島問題勃発後、ぴたり、とこなくなった。ふたりとも川崎の工場で働く労働者だった。
一方、先日、会社の裏手にある別の教会の礼拝に参加したとき、そこに中国人の大学生がいて、「神様、両国の政治家に、希望と愛を教えてください」と祈り、将来は、日本と中国の架け橋になりたい、と語っていた。やはり、「誰でも」というわけにはいかないのか。冷静沈着なまなざし、というのは、「エリート」と呼ばれる環境にないと、持てないのだろうか。川崎の中国人の若者を思い出すたび、複雑な気持ちになる。