『古事記と日本書紀 「天皇神話」の歴史』神野志隆光

古事記と日本書紀 (講談社現代新書)

古事記と日本書紀 (講談社現代新書)

忘れないうちにメモ。
日本書紀」と「古事記」は別系統の神話である、というのが主旨で、さらに、中世以降現代にいたるまでの「日本書紀」「古事記」注釈や研究は、「日本神話」という別の神話を作りだしたようなものである、という批判があったりする。
ちょっとひっかかったのは、天皇家の祭祀と日本神話はもともと別のものであったのが、『古語拾遺』(807年)から一元化が図られ、祭祀の権威付けのために、神話が利用されたのだ、という説。たしか、先日読み終えた『日本書紀の読み方』では、綿密に祭祀と神話との関連性を説かれていたはずで、ちょっと読み返しておかねば、と思う。もし神野志先生のいうとおりであったら、『日本書紀の読み方』で述べられていた研究成果はまったくもって徒労ってことになりますな。
もひとつ、メモとして、益田勝実『火山列島の思想』を読まねば、と思った。周囲の人たちから散々、おもしろいよ、と勧められていたのだけれど、なんとなく後回しにしていた。本書の最後の章でも触れられているが、それを見てもやっぱり、なんだかおもしろそうである。神野志先生は、「もともとの神話があったはずであり、それこそが大事だと見る」という態度はどうなのよ、すでに政治化された「古事記」を「古事記」として読む、というのも古典文学研究としては重要なんじゃないの、という批判もしておられて、もちろんそれはそうなんだろうけれど、それはそれとして、『火山列島の思想』は、なんだか面白そうだ、という気がしました。
もうひとつ紹介されていた吉田敦彦氏の研究、折々耳にする名前だけれど、神野志先生の紹介から推測するに、いわゆる「構造主義分析」なんですかね。だったら読まなくていいや。まずは積読している『火山列島の思想』をひっぱりだしてくるか、と思った次第。