『坂口安吾』ちくま日本文学009

坂口安吾 [ちくま日本文学009]

坂口安吾 [ちくま日本文学009]

数ヶ月前に一度読んだのだけど、もう一度頭から読み返してみて、あれ?とおもうこと多々あり。
それも、「こんなこと、書いていたっけ?」というところと、「記憶に残っていたことが書かれていない!」というところとがあるのだ。不思議だ。私の脳みそが不思議なのか、坂口安吾が不思議なのか。
「白痴」の最初の印象は、「白痴」と呼ばれる女の艶めかしさとか、爆撃の瞬間のリアルさとかが強かったのだけれど、数ヵ月後の今読み返してみると、「(女に)微塵の愛情もなかったし、未練もなかったが、捨てるだけの張り合いもなかった。」という冷めっぷりや倦怠感ばかり目について、「白痴」は全然色っぽくない。「金銭無情」は太宰治の小説に似ていて退廃的な作品だと思っていたのだけれど、今読むと、すごく滑稽だ。もう3回くらい読んだはずの「日本文化私観」は、読むたびに、なにが言いたいのかよくわからなくなる。不思議だ。