『黒い手帖―創価学会「日本占領計画」の全記録』矢野 絢也

黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録

黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録

書店でぱらぱらめくっていたら、「マインドコントロール」という語が目に入ってきたので、買ってみた。最近、宗教による洗脳、ということに関心がある。ただ、この宗教団体については、今まであまり関心がなかったし、周囲にもこの団体の信者はいないので、あまり実感のないまま読み始めました。
読みながら、鳥肌がたち、背中を汗が伝いました。
ここに描かれている組織的な犯罪行為が恐ろしい、ということではない。
ひとつには少なからぬ人数の人が、政策ではなく、その組織に属しているから、という理由だけである特定の政党に投票することに恐怖を覚えたのである。ここに描かれているように、候補者が政策について説明する場面はなく、他政党を「仏敵」と罵るのが演説会の実態だ、ということが、もし本当だとしたら、あまりにも恐ろしい。候補者は丁寧に政策を説明するべきだし、公明党の政策をよく聞いて「それは納得がいかない」と思えば、民主党なり自民党なり、よりよいと思えるほうに投票すればいいではないか。著者が「学会票」という言葉で、まるでものを考えないひと塊りの集団のようなものの言い方をすることに、その根深さを感じてぞっとした。
もうひとつは、この宗教団体にとって、信仰の対象がなにか、よくわからない、ということ。ブッタではないのか。池田さんなのか。もし、信仰の対象がブッタだとしたら、宗教団体はブッタに対して学び、分かち合う平等な立場の集まりであって、特定の人が大きな権威をもつ必要はないのではないかと思った。ただしく信仰するのであれば、ブッタと、信者との間に、どんな人間も入る余地はないはずだ。ましてや「I先生をお守りする」という言葉は、仏教的にどういう解釈になるのか。ちゃんと裏付けがあって、仏教的に、特定の人間に無批判に従うことが正しいことなのか否か。仏教の経典に照らし合わせて正しいのかどうか。
この本1冊で判断するには、まだ早いかもしれない。メディアリテラシーが必要だ。複数の本を合わせ読んで、検討したいと思った。