「幸福な王子」 オスカー・ワイルド

幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)

９月２７日

昨日、ウインドウ・ショッピング中に、へんてこりんな柄のワンピースをみつける。手にとってまじまじ眺めていると、店員さんが近付いてきた。「ふしぎな絵柄ですよね」「ふしぎ、というより、不気味…」。しばらく眺めていて、はた、と気づいた。
「あ、『幸福な王子』だ」「……え…、そのお話、知りません…」

そうか、「幸福な王子」をしらない人が、「不気味で面白い」という理由で買ったら、このへんてこりんな意匠を、このお洋服にほどこした人の意図が伝わらなくて気の毒だ、…なんていう、スノッブな理由で、ほしくなって、買ってしまう。（ちょっと高かった）。
で、その足で、書店に寄って、新潮文庫の「幸福な王子」を買って、本日、読了。
「幸福な王子」のほか、「ナイチンゲールとばらの花」「わがままな大男」「忠実な友達」「すばらしいロケット」「若い王」「王女の誕生日」「漁師とその魂」「星の子」を収録。
キリスト教的モチーフが使われているけれど、ドイツ旅行で見た中世のカトリック教会の聖画のように、なんとな〜く、おどろおどろしくって、マゾヒスティック感じ。
そういや、ワイルドって、「サロメ」の作者でもあった。
「不気味」なあのワンピースの絵柄は、かなり、忠実にワイルドの世界を描いていたのかも。